他社で設置された煙突ですが、煙道内火災を起こして煙突内に変形が生じたという事で煙突交換の依頼を受けました。

パッと見た感じでは何も起きていないようですが、断熱材入り二重煙突部の内部が水膨れしたように変形したようです。
それは典型的な「煙道内火災」の症状で、煙突詰まりした煙突を強制的に燃やそうとすると煤に引火して煤が燃えて上がっていき煙突トップで噴火、という事が起こったと思われます。
幸運な事に家が火災にならなかったのは良かった事ですが、薪ストーブの使い方を根本から見直す必要があります。

煙突は国産煙突「SCS匠」に全部交換しました。
良い煙突でも使い方が悪ければ同じことの繰り返しとなります。
薪ストーブ歴20年のベテランのオーナー様に生まれ変わった気持ちで取説を聞いてください、と念を押しました。
基本的に煙突掃除は年一回で十分です。
しかしこちらのオーナー様は年に2,3回煙突掃除をして尚且つ煙道内火災を起こしているので、「常時不可全燃焼」な焚き方をしているという事が想像できます。
こちらで持参した薪を燃やして実演しました。
ビギナーでも簡単に完全燃焼出来るやり方です。
煙が立たないくらいに爆発的に燃やす事が大事で、その為に着火剤と細い焚付薪を使います。
勢い良く大きな火が出来たら、通常サイズの薪をストーブサイズに適した最大量投入します。
そしてストーブ温度計で適温まで上げる事が大事です。なぜなら完全燃焼するのにストーブ内部で500度~600度の温度が必要です。その温度が相対的にストーブ天板の温度で判ります。
親切なストーブ温度計にはBESTゾーンという表記がされています。かならずこの温度を目指して焚きましょう(ストーブの機種により天板の温度が上がらないものもあります)。
適温まで温度が上がったら空気調整レバーをしぼります。約9割くらいしぼるのですが、これも煙突長さや機種による違いがあるので微調整してください。
適温まで温度を上げるのは早ければ早いほど良いので焚き始めから30分くらいを目指しましょう。
後は放置です。
薪を追加するタイミングは機種にもよりますが2,3時間は入れなくても良いと思います。
追加する時はまた最大量薪をいれて、適温まで上げるという事の繰り返しです。
外に出て煙突から出る煙をチェックする事も大事です。
黒い煙が出てれば煤も直ぐに溜まります。
最初は薄白い煙から温度が上がって透明になるまでを確認して頂きました。
この焚き方を続けていければ煤も大して貯まらないし、煙道内火災なんてあり得ない話と思えます。
今回は煙突を交換する工事よりも薪ストーブリテラシー教育の方が大事な仕事と思っていました。
20年という長い時間で固まった考えを変えて頂く必要があったからです。
薪ストーブはあくまで人間がコントロールするものなので、使う人間が理解しなければいけません。
やはり取説の時間がこの仕事において一番大事なんだと思います。
こちらの動画は弊社ホームページ内にある「薪ストーブ簡単上から着火』です
動画を作った当時初めて買ったクラシックギターの音を録りたくて作曲演奏編集したものがBGMです。
